在留カードとは?外国人雇用を検討する企業が知っておくべき基礎知識

近年、日本の労働市場において外国人労働者の存在感が高まっています。少子高齢化による労働力不足を背景に、多くの企業が外国人材の採用を検討するようになりました。しかし、外国人を雇用する際には、日本人の採用とは異なる法的な手続きや確認事項があります。

その中でも特に重要なのが「在留カード」の確認です。在留カードは外国人が日本に適法に滞在していることを証明する重要な書類であり、企業が外国人を雇用する際には必ず確認しなければならない書類です。

本記事では、人材募集を行っている企業の担当者様に向けて、在留カードの基本的な知識から外国人雇用時の注意点まで、実務に役立つ情報を詳しく解説します。

在留カードとは

在留カードの基本概念

在留カードとは、中~長期間日本に滞在する外国人に対して交付される身分証明書です。2012年7月に外国人登録制度に代わって導入された制度で、法務大臣が適法な在留資格を持つ外国人に交付します。

在留カードには、その外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労制限の有無などの重要な情報が記載されています。これらの情報は、企業が外国人を雇用する際の判断材料として極めて重要な役割を果たします。

在留カードの交付対象者

在留カードが交付されるのは、以下の条件を満たす外国人です。

  • 中~長期滞在者(90日を超えて日本に滞在する外国人)
  • 適法な在留資格を持つ外国人
  • 特別永住者以外の外国人

観光目的などで短期間滞在する外国人や、不法滞在者には在留カードは交付されません。また、特別永住者(在日韓国人)にも在留カードは交付されませんが、「特別永住者証明書」という別の証明書が交付されます。特別永住者は在留カードの対象外となりますが、雇用することは可能です。

在留カードに記載される主要な情報

基本的な個人情報

在留カードには以下の基本情報が記載されています。

  • 氏名:漢字表記とローマ字表記の両方
  • 生年月日:西暦で表示
  • 性別:男性または女性
  • 国籍・地域:出身国または地域
  • 住居地:日本国内の住所

在留資格関連情報

企業が特に注意すべき情報として、以下の在留資格関連情報があります。

  • 在留資格:その外国人が日本で行うことができる活動の種類
  • 在留期間:日本に滞在できる期間
  • 就労制限の有無:就労が可能かどうか/制限があるか

ICチップと偽造防止機能

在留カードにはICチップが内蔵されており、記載事項の電磁的記録が保存されています。また、偽造防止のための特殊な印刷技術や材質が使用されており、真正性の確認が可能です。

外国人雇用における在留カードの重要性

法的義務としての確認

外国人を雇用する企業には、その外国人が適法に就労できる資格を持っているかどうかを確認する法的義務があります。この確認を怠った場合、不法就労助長罪に問われる可能性があります。

在留カードの確認は、この法的義務を果たすための最も基本的かつ重要な手続きです。企業は雇用契約を締結する前に、必ず在留カードを確認し、就労が可能な在留資格であることを確認する必要があります。

リスク管理の観点

適切な在留カードの確認を行わずに外国人を雇用した場合、以下のようなリスクが発生する可能性があります。

  • 法的リスク: 不法就労助長罪による刑事処罰
  • 行政処分: 業務停止命令などの行政処分
  • 社会的信用の失墜: 企業イメージの悪化
  • 経営への影響: 事業継続への支障

これらのリスクを回避するためにも、在留カードの適切な確認は不可欠です。

主要な在留資格の種類と就労制限

就労に制限のない在留資格

以下の在留資格を持つ外国人は、就労に関して制限がありません。

  • 永住者: 永住許可を受けた外国人
  • 日本人の配偶者等: 日本人の配偶者、子、特別養子
  • 永住者の配偶者等: 永住者や特別永住者の配偶者、子
  • 定住者: 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者

これらの在留資格を持つ外国人は、職種や労働時間に制限なく就労することができます。

就労が認められる在留資格

以下の在留資格を持つ外国人は、資格の範囲内で就労が可能です。

  • 技術・人文知識・国際業務:IT技術者、通訳、デザイナーなど
  • 技能: 外国料理の調理師、宝石・貴金属等の加工技能者など
  • 経営・管理:企業の経営者、管理者など
  • 教授:大学教授など
  • 芸術:作曲家、画家、著述家など
  • 宗教:外国の宗教団体から派遣された宣教師など
  • 報道:外国の報道機関の記者、カメラマンなど
  • 高度専門職:高度な資質・能力を有する外国人
    • 高度なスキルや知識を持つ人材を優遇して受け入れる制度
  • 特定技能:特定産業分野における相当程度の技能を有する外国人
    • 特定技能1号:就労制限あり(14業種)・在留期間は最長5年・家族帯同不可
    • 特定技能2号:在留資格もより自由度が高い・在留期間の更新可・家族帯同可

これらの在留資格では、許可された活動の範囲内でのみ就労が可能です。

就労が認められない在留資格

以下の在留資格を持つ外国人は、原則として就労が認められていません。

  • 留学:大学、専門学校等で学ぶ学生
  • 家族滞在:就労資格を持つ外国人の配偶者や子
  • 文化活動: 日本文化の研究者など
  • 短期滞在:観光、親族訪問等の短期滞在者
  • 研修:技能等の修得を目的とする研修生

しかし、「資格外活動許可」を取得していれば、週28時間以内の範囲でアルバイトとして雇用することが可能となります。

たとえば、日本の大学に通う留学生が学業と両立しながらコンビニや飲食店で働くケースや、家族滞在の方が家計を支えるためにパート勤務を行うケースなどが該当します。

在留カードの確認方法と注意点

視覚的確認のポイント

在留カードを確認する際は、以下の点に注意して視覚的にチェックします。

  • カードの材質と印刷品質
  • 写真の確認
  • 記載事項の整合性
  • 有効期限

ICチップの読み取り

在留カードの真正性をより確実に確認するためには、ICチップの読み取りが有効です。出入国在留管理庁が提供する専用アプリケーションを使用することで、ICチップに記録された情報を読み取ることができます。

偽造カードの見分け方

残念ながら、偽造された在留カードが流通している場合があります。以下の点に注意して偽造カードを見分けることが重要です。

  • 印刷の粗さ
  • 材質の違い
  • 記載事項の不自然さ
  • ICチップの反応

在留カードだけでは不十分

外国人材を採用する際、「在留カードに記載されている情報だけで就労資格を判断できる」と思われがちですが、実際には在留カードだけで判断するのは危険です。
確かに、在留カードには就労制限の有無が記載されています。しかし、そこに書かれているのは「就労可」「就労不可」「資格外活動許可あり」といった大まかな区分であり、具体的にどの職種・業種で働けるか、あるいは週何時間まで許可されているかといった詳細までは記載されていません。

そのため、雇用前には在留カードだけでなく、関係書類全体を確認することが重要です。誤って就労資格のない業務に従事させた場合、企業側も不法就労助長罪に問われる可能性があるため、慎重な対応が求められます。

雇用時の手続きと届出義務

ハローワークへの届出

外国人を雇用する企業は、雇用開始時および雇用終了時にハローワークへの届出が義務付けられています。この届出は「外国人雇用状況の届出」と呼ばれ、以下の情報を報告する必要があります。

  • 外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等
  • 事業所の名称、所在地等
  • 雇用開始年月日、雇用終了年月日
  • 従事する業務の内容

雇用契約書の作成

外国人労働者との雇用契約書には、日本人労働者との契約書に加えて、以下の点を明記することが重要です。

  • 在留資格に適合した業務内容
  • 労働条件の明確化
  • 社会保険の加入
  • 税務上の取り扱い

在留期間の管理

外国人労働者の在留期間は有限であるため、企業は継続雇用を希望する場合、在留期間の更新手続きをサポートする必要があります。在留期間の満了前に、適切な更新手続きを行うことが重要です。

まとめ

外国人雇用における在留カードの確認は、法的義務であると同時に、企業のリスク管理の観点からも極めて重要です。適切な確認を行うことで、不法就労助長罪などの法的リスクを回避し、安心して外国人材を活用することができます。

企業が外国人を雇用する際は、在留カードの記載内容を正確に理解し、就労可能な在留資格であることを確認することが不可欠です。

ただし、在留カードだけでは就労資格の範囲や制限内容をすべて把握することはできません。たとえば、「資格外活動許可あり」と記載されていても、実際に許可された活動内容や就労時間の上限などは、別途「許可通知書」やパスポートの証印などで確認する必要があります。在留カードの表記のみを鵜呑みにするのではなく、関連書類を併せて確認することが、適正な雇用管理の第一歩です。

また、雇用後も在留期間の管理や各種届出義務を適切に履行することで、コンプライアンスを保ちながら外国人材の力を最大限に活用することができます。

今後ますます重要性が高まる外国人雇用において、在留カードに関する正しい知識を持つことは、企業の競争力向上にもつながる重要な要素となるでしょう。

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