特定技能外国人の雇用を検討している企業にとって、「登録支援機関」は重要なパートナーとなる存在です。制度の複雑さや支援業務の負担を考えると、多くの企業が登録支援機関への委託を選択しています。本記事では、登録支援機関の役割から具体的な支援内容、選び方まで詳しく解説します。
特定技能制度における登録支援機関の役割
登録支援機関とは
登録支援機関とは、特定技能外国人を雇用する企業(受入れ機関)に代わって、外国人材への支援業務を行う機関です。出入国在留管理庁に登録された法人や個人事業主が、専門的な知識と経験を活かして支援を提供します。
2025年10月現在、全国で約10,000の登録支援機関が存在しており、人材紹介会社、行政書士事務所、監理団体、商工会議所など、様々な業種の機関が登録されています。
なぜ登録支援機関が必要なのか
特定技能外国人を雇用する企業は、法律により外国人材への支援が義務付けられています。しかし、これらの支援業務は専門知識を要し、継続的な対応が必要なため、多くの企業にとって大きな負担となります。そこで、専門機関に委託することで、適切な支援を効率的に提供できるのです。
義務的支援10項目の詳細解説
特定技能外国人への支援は、法律で定められた10の項目があります。これらは必ず実施しなければならない「義務的支援」です。
① 事前ガイダンス
入国前に労働条件、業務内容、日本での生活ルールを母国語で説明します。雇用条件の詳細や生活情報を事前に提供することで、来日後のトラブル防止を図ります。
② 出入国時の送迎
入国時の空港出迎えから事業所・住居までの送迎、帰国時の空港保安検査場までの同行を行います。
③ 住居確保・生活インフラ契約支援
住居探しの補助、賃貸契約時の連帯保証人対応、社宅提供などの住居確保支援に加え、銀行口座開設、携帯電話、電気・ガス・水道契約のサポートを実施します。
④ 生活オリエンテーション
交通機関の利用方法、役所手続き、医療機関の利用、防災知識など日本生活に必要な情報を8時間以上、可能な限り母国語で提供します。
⑤ 公的手続きへの同行
住民登録、社会保険加入、税務手続きなどの公的手続きへの同行と書類作成補助を行います。
⑥ 日本語学習機会の提供
日本語学校の紹介、地域学習教室の案内、オンライン教材・アプリ・自主学習教材の提供により、継続的な日本語学習をサポートします。
⑦ 相談・苦情対応体制
仕事や生活上の悩み・苦情を母国語で受け付ける相談窓口を設置し、適切な助言・指導や外部関係機関への案内を行います。
⑧ 日本人との交流促進
地域のお祭りや交流イベント情報の提供・参加推奨により、日本文化理解と地域コミュニティとの関係構築を支援します。
⑨ 転職支援
受け入れ企業の倒産等による解雇時には、求人情報提供、推薦状作成、ハローワーク同行など次の職場探しを全面的にサポートします。
⑩ 定期面談と通報義務
外国人本人と直属の上司に対し3ヶ月に1回以上の面談を実施し、労働基準法違反等の問題発見時には労働基準監督署等への通報義務を履行します。
任意的支援の例
義務的支援に加えて、登録支援機関が独自に提供する任意的支援もあります。
生活支援の充実
- 24時間対応の緊急連絡体制
- 医療機関受診時の通訳サービス
- 家族の呼び寄せ手続きサポート
- 銀行口座開設時の同行サービス
キャリア開発支援
- 技能向上のための研修機会提供
- 資格取得支援
- 昇進・昇格に向けたアドバイス
- 長期キャリアプランの相談
文化交流・娯楽支援
- 季節行事への参加機会提供
- 観光地見学ツアーの企画
- 同国出身者との交流会開催
- 日本文化体験プログラム
登録支援機関に委託するメリット
1. 専門性とノウハウの活用
登録支援機関は特定技能制度に精通した専門機関です。法令遵守はもちろん、効果的な支援方法について豊富な経験とノウハウを持っています。
2. 業務効率化とコスト削減
登録支援機関への委託により、企業は大幅な業務効率化を実現できます。特定技能外国人の支援業務は多岐にわたり、専任担当者を配置する場合、人件費だけでも年間数百万円のコストが発生します。一方、登録支援機関への委託費用は月額3~5万円程度が相場となっており、コスト面でのメリットは明確です。
また、支援業務に必要な多言語対応スタッフの確保や、各種手続きに関する最新情報の収集・管理といった間接業務も削減できるため、企業は本来の事業活動に集中できる環境が整います。
3. リスク管理と法令遵守の確保
特定技能制度は法令要件が厳格で、支援義務を怠った場合、受入れ停止処分を受ける可能性があります。登録支援機関は制度に精通した専門家集団であり、法令遵守を徹底した支援体制を構築しています。
万が一のトラブル発生時も、豊富な経験に基づく迅速な対応が期待できるため、企業のリスク軽減につながります。出入国在留管理庁への各種報告書作成・提出も確実に行われ、行政対応の負担も大幅に軽減されます。
優良な登録支援機関の選び方
実績と信頼性の確認
登録支援機関を選定する際は、まず実績と信頼性を慎重に確認することが重要です。支援実績数、継続契約率、外国人からの満足度調査結果などの具体的なデータを開示している機関を選びましょう。
また、出入国在留管理庁から指導や処分を受けた履歴がないか、公表情報を確認することも大切です。業界団体への加盟状況や、第三者機関による認証取得の有無も判断材料となります。
対応言語と支援体制
雇用予定の外国人の母国語に対応できるスタッフが常駐しているか確認しましょう。単に通訳ができるだけでなく、その国の文化や慣習を理解したスタッフがいることで、より質の高い支援が期待できます。
緊急時の対応体制も重要なポイントです。24時間365日対応が可能か、休日・夜間の連絡体制はどうなっているか、具体的な対応フローを確認しておくことをお勧めします。
費用体系の透明性
支援委託費用の内訳が明確で、追加料金の発生条件が分かりやすく説明されている機関を選びましょう。初期費用、月額費用、各種手続き費用など、すべての費用項目について事前に詳細な見積もりを取得することが大切です。
また、契約期間や解約条件についても十分に確認し、柔軟性のある契約形態を提案してくれる機関を選ぶことで、長期的な信頼関係を築くことができます。
まとめ
特定技能外国人の雇用における登録支援機関の活用は、企業にとって多くのメリットをもたらします。義務的支援10項目の確実な実施はもちろん、任意的支援による外国人材の定着促進、業務効率化とコスト削減、そしてリスク管理の強化が実現できます。
優良な登録支援機関を選定するためには、実績・信頼性、対応体制、費用の透明性を総合的に判断することが重要です。特定技能制度を成功させるパートナーとして、慎重に検討し選択することをお勧めします。
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